突然の地震、台風、豪雨…。
日本に住む私たちにとって、災害は決して他人事ではありません。
そんな非常事態において、スマートフォンは家族や友人の安否確認、最新情報の収集、避難場所の検索など、まさに命綱とも言える重要な役割を果たします。
しかし、もしそのスマホの通信が突然使えなくなってしまったら…?
想像するだけで、不安に駆られる方も多いのではないでしょうか。
実際に、大規模な災害が発生すると、多くの人が一斉に通信を試みるため、電話やインターネットが繋がりにくくなる「通信障害」が発生しやすくなります。
「情報が何も入ってこない…」 「家族と連絡が取れない…」
そんな絶望的な状況に陥らないために、ぜひ知っておいてほしいのが、災害時に無料で開放される公衆Wi-Fiサービス「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」の存在です。
この記事では、いざという時にあなたとあなたの大切な人を守るための知識として、災害時に通信が途絶える理由から、命綱となる「00000JAPAN」の詳しい接続方法、そして安心して利用するためのセキュリティ対策まで、誰にでも分かるように徹底的に解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたは災害時の通信確保に関する不安が解消され、冷静に行動するための具体的な知識を身につけているはずです。
今すぐできる準備も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
災害時にスマホ通信が使えなくなる、3つの大きな理由
なぜ、あれほど日常に溶け込んでいるスマートフォンの通信が、災害時にはいとも簡単に使えなくなってしまうのでしょうか。
その背景には、主に3つの大きな理由が存在します。
この仕組みを理解しておくことで、災害時に「なぜ繋がらないんだ!」とパニックに陥ることなく、落ち着いて次の行動に移せるようになります。
理由1:携帯基地局そのものが物理的に壊れてしまう
私たちのスマートフォンがインターネットに繋がるのは、街の至る所に設置されている「携帯基地局」が電波を送受信しているおかげです。
この基地局は、いわば通信の心臓部。
しかし、この基地局も物理的な建造物であるため、大規模な災害には耐えられない場合があります。
- 地震による倒壊や損傷
- 台風によるアンテナの破損や倒壊
- 豪雨や津波による水没
- 土砂災害による流出や埋没
例えば、2024年1月に発生した能登半島地震では、道路の寸断により基地局の復旧作業が難航し、多くの地域で長期間にわたる通信障害が発生しました。
このように、基地局自体がダメージを受けてしまうと、そのエリア一帯のスマートフォンは電波を掴むことができなくなり、通信が完全に途絶してしまうのです。
理由2:アクセス集中による「輻輳(ふくそう)」
基地局が無事だったとしても、安心はできません。 次に大きな壁となるのが「輻輳(ふくそう)」と呼ばれる現象です。
これは、特定のエリアで非常に多くの人が一斉に電話をかけたり、インターネットに接続しようとしたりすることで、通信設備が処理できる容量の限界を超えてしまう状態を指します。
高速道路の渋滞をイメージすると分かりやすいかもしれません。
【通信の「輻輳」を図でイメージ】
平常時:
[スマホ] ---> [基地局] ---> [インターネット]
[スマホ] ---> [基地局] ---> [インターネット]
(スムーズに通信が可能)
災害時(輻輳発生):
[スマホ] --X--> [基地局] <--X-- [スマホ]
[スマホ] --X--> [基地局] <--X-- [スマホ]
[スマホ] --X--> [基地局] <--X-- [スマホ]
(アクセスが集中し、基地局がパンク状態。通信が通らない)
災害発生直後は、誰もが家族や友人の安否を確認しようとします。
- 「無事だよ!」と伝えたい
- 「大丈夫?」と連絡を取りたい
- 災害の最新情報を知りたい
こうした想いから一斉にアクセスが集中し、通信の高速道路は大渋滞。結果として、電話は「プープー」と鳴り続け、インターネットは全く読み込まない、という事態に陥るのです。
これは、通信インフラが物理的に壊れていなくても発生する、非常に厄介な問題です。
理由3:命綱である「電気」の供給ストップ
スマートフォンも、基地局も、すべて電気で動いています。 そして、災害時に最も深刻な影響を受けるライフラインの一つが、この電気です。
大規模な停電が発生すると、たとえ基地局自体が無傷であっても、その機能を維持することができなくなります。
もちろん、携帯キャリア各社は基地局に非常用バッテリーや発電機を備えています。 しかし、その稼働時間には限りがあります。一般的には24時間程度が目安とされていますが、災害の規模や復旧作業の進捗によっては、バッテリーが切れてしまうケースも少なくありません。
また、私たち自身の手元にあるスマートフォンも、当然ながら充電が切れればただの板になってしまいます。
避難所で過ごしているうちに、モバイルバッテリーも使い果たしてしまった…という状況は、十分に起こり得るのです。
このように、「基地局の物理的ダメージ」「アクセスの集中(輻輳)」「電源の喪失」という3つの要因が複雑に絡み合うことで、災害時にはあれほど当たり前だったスマホの通信が、いとも簡単に失われてしまうのです。
しかし、希望はあります。 こうした絶望的な状況を打開するために用意された仕組みが、次に紹介する「00000JAPAN」なのです。
希望の光「00000JAPAN」とは?知っておきたい基本知識
通信が途絶え、情報から遮断される不安。 その暗闇を照らす一筋の光が、災害時に現れる特別なWi-Fi「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」です。
この存在を知っているか知らないかで、災害時の行動は大きく変わります。 いざという時に冷静に活用できるよう、その正体と仕組みを正しく理解しておきましょう。
誰でも・無料で・契約不要!日本が誇る「統一SSID」
「00000JAPAN」とは、大規模な災害が発生した際に、通信キャリア各社(NTTドコモ、au、ソフトバンクなど)やWi-Fi事業者(Wi2など)が垣根を越えて協力し、無料で提供する公衆Wi-Fiサービスのことです。
この取り組みは、2011年の東日本大震災の教訓から生まれました。 当時は各社がそれぞれ善意でWi-Fiを無料開放しましたが、サービス名(SSID)がバラバラだったため、利用者がどのWi-Fiに接続すれば良いのか分からず、混乱が生じたのです。
その反省を踏まえ、 「いざという時は、誰でも迷わず使えるように、Wi-Fiの名前を一つに統一しよう!」 という目的で、総務省の指導のもと、業界全体で整備されたのが「00000JAPAN」です。
まさに、日本の通信業界が一体となって国民の安全を守るための、素晴らしい仕組みと言えるでしょう。
「00000JAPAN」のここがスゴい!
- キャリアフリー: あなたがドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイル、あるいは格安SIMなど、どの通信会社と契約していても関係なく利用できます。
- 登録不要: 通常のフリーWi-Fiのように、メールアドレスの登録やSNSでの認証といった面倒な手続きは一切必要ありません。
- パスワード不要: 緊急時に一刻も早く利用できるよう、パスワードの入力なしで接続できます。
- 利用料無料: もちろん、利用にあたって料金は一切かかりません。
この手軽さと公平性が、「00000JAPAN」の最大の特徴です。
いつ、どこで使えるの?利用条件を知っておこう
「00000JAPAN」は、いつでもどこでも使えるわけではありません。 発動には、以下のようないくつかの条件があります。
- 対象となる災害: 震度6弱以上の地震や、それに準ずる大規模な自然災害が発生した場合に、提供が検討されます。
- 対象エリア: 原則として、災害救助法が適用された市町村が対象となります。テレビやラジオ、自治体の発表などで、お住まいの地域が対象になったかを確認しましょう。
- 提供場所: 対象エリア内の避難所(小中学校の体育館、公民館など)や、役所、一部の公共施設、コンビニエンスストア、駅などで利用できるようになります。
- 提供期間: 災害発生から、通信インフラがある程度復旧するまでの期間、提供されます。一般的には災害発生から72時間(3日間)が一つの目安とされていますが、状況に応じて延長されることもあります。
重要なポイントは、「00000JAPAN」は平常時には提供されていない、ということです。 普段、スマートフォンのWi-Fi設定画面に出てくることはありません。災害が発生し、通信キャリアが「開放します」と判断して初めて、私たちのスマホでその電波をキャッチできるようになるのです。
この「いざという時にだけ現れる命綱」という性質を、ぜひ覚えておいてください。 そして、その使い方を次の章でマスターしましょう。
<関連情報> より詳しい公式情報については、総務省や各通信事業者のウェブサイトで確認できます。
- 総務省 | 無線LANビジネス研究会: https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/chousa/musenlan/index.html
- 無線LANビジネス推進連絡会 | 災害用統一SSID「00000JAPAN」: https://www.wlan-business.org/customer/introduction/feature
【図解】スマホで「00000JAPAN」に接続する全手順 (iPhone/Android)
「00000JAPAN」の存在は理解したけれど、実際にどうやって接続すればいいの? ここでは、パニック状態でも落ち着いて操作できるよう、iPhoneとAndroidそれぞれの接続手順を、一つひとつ丁寧に解説します。
操作は驚くほど簡単です。一度やり方を見ておけば、いざという時に必ず役立ちます。
iPhoneの場合:3ステップで接続完了!
iPhoneの操作は非常に直感的です。以下の3つのステップで接続できます。
ステップ1:設定アプリを開き、「Wi-Fi」をタップ
ホーム画面にある、歯車の形をした「設定」アプリをタップします。 次に、上から2番目あたりにある「Wi-Fi」という項目をタップしてください。
ステップ2:「00000JAPAN」を選択する
Wi-Fiがオンになっていると、スマートフォンが受信できるWi-Fiの一覧(ネットワーク名/SSID)が表示されます。
その中から「00000JAPAN」という名前を探して、タップします。 災害時でなければこの名前は表示されません。もし見つかれば、そこが支援エリアである証拠です。
【iPhoneのWi-Fi設定画面イメージ】
< 設定 Wi-Fi
-----------------------------------
Wi-Fi [ ON > ]
ネットワーク
-----------------------------------
✅ 自宅のWi-Fi
00000JAPAN <--- これをタップ!
aterm-XXXXXX
elecom-XXXXXX
-----------------------------------
ステップ3:自動的に接続完了!
「00000JAPAN」はパスワードが不要なため、タップするだけで自動的に接続が完了します。 画面上部のステータスバーに、扇形のWi-Fiマークが表示されれば成功です。
ブラウザ(Safariなど)を開くと、利用規約の同意画面が表示される場合があります。その際は、画面の指示に従って「同意する」などのボタンをタップしてください。 これだけで、インターネットが使えるようになります。
Androidの場合:こちらも簡単3ステップ!
Androidスマートフォンも、基本的な流れはiPhoneと同じです。 (※お使いの機種やOSのバージョンによって、表示が若干異なる場合があります)
ステップ1:設定メニューから「Wi-Fi」を選択
画面を上から下にスワイプして「クイック設定パネル」を表示し、Wi-Fiのアイコンを長押しするか、アプリ一覧から「設定」アプリを開き、「ネットワークとインターネット」 → 「Wi-Fi」と進みます。
ステップ2:Wi-Fiをオンにし、「00000JAPAN」をタップ
Wi-Fiがオフになっている場合は、スイッチをタップしてオンに切り替えます。 すると、利用可能なネットワークの一覧が表示されますので、その中から「00000JAPAN」を探してタップします。
【AndroidのWi-Fi設定画面イメージ】
← Wi-Fi
-----------------------------------
Wi-Fiの使用 ( ● )
利用可能なネットワーク
-----------------------------------
↑↓ 00000JAPAN <--- これをタップ!
MyPlace_5G
Guest_Wi-Fi
public_spot
-----------------------------------
ステップ3:自動接続を確認
こちらもパスワードは不要です。「00000JAPAN」をタップすると、通常は「接続済み」というステータスに変わります。
もし、「接続」というボタンが表示されたら、それをタップしてください。 画面上部のステータスバーにWi-Fiマークが表示されれば、接続は成功です。
iPhone同様、ブラウザを開いた際に表示される利用規約に同意が必要な場合があります。
【超重要】平時にやっておくべき「事前設定」
いざという時に慌てないために、普段からスマートフォンのWi-Fi設定を最適化しておくことが非常に重要です。
- Wi-Fiの「自動接続」をオンにしておく 多くのスマートフォンでは、一度接続したWi-Fiに自動で再接続する機能があります。これをオンにしておきましょう。そうすれば、避難所など「00000JAPAN」が利用できるエリアに入った際に、自動で接続してくれる可能性が高まります。(ただし、後述するセキュリティのリスクも理解した上で設定してください)
- 「00000JAPAN」にはパスワードが不要であることを覚えておく 災害時の混乱の中で、「パスワードはなんだっけ?」と探す必要はありません。「00000JAPAN」はパスワードなしで接続できる、と覚えておくだけで、心の余裕が生まれます。
たったこれだけですが、知っていると知らないとでは、行動の速さが全く違ってきます。 ぜひ、この機会にご自身のスマートフォンの設定を確認してみてください。
各キャリアのWi-Fiサービスと災害時の対応
「00000JAPAN」は、キャリアの垣根を越えた素晴らしい取り組みです。 それに加えて、NTTドコモ、au、ソフトバンクといった大手キャリアは、それぞれ独自の公衆Wi-Fiサービスを提供しており、これらも災害時には重要な役割を果たします。
ここでは、各社のWi-Fiサービスの特徴と、災害時にどのように機能するのかを解説します。
NTTドコモ:「d Wi-Fi」が無料開放される
- 平時のサービス: NTTドコモは「d Wi-Fi」という公衆Wi-Fiサービスを提供しています。dポイントクラブ会員であれば、ドコモユーザーでなくても無料で利用登録ができ、全国のカフェ、コンビニ、駅、空港などで高品質なWi-Fiを利用できます。SSIDは「0001docomo」または「0000docomo」です。
- 災害時の対応: 大規模災害時には、「d Wi-Fi」のスポットが「00000JAPAN」として無料開放されます。つまり、普段「d Wi-Fi」が提供されている場所が、そのまま災害時の通信拠点に変わるのです。 これにより、非常に広範囲なエリアで「00000JAPAN」が利用可能になります。
au (KDDI):「au Wi-Fi SPOT」が強力なインフラに
- 平時のサービス: auは「au Wi-Fi SPOT」を展開しています。auのスマートフォン契約者はもちろん、提携するサービスの利用者も使うことができます。駅やカフェ、レストランなどを中心に、多くのアクセスポイントを持っています。SSIDは主に「au_Wi-Fi2」です。
- 災害時の対応: auもドコモと同様に、災害発生時には全国の「au Wi-Fi SPOT」を「00000JAPAN」として開放します。auが持つ膨大な数のWi-Fiスポットが、そのまま被災者のための通信インフラとして機能するわけです。
ソフトバンク:「ソフトバンクWi-Fiスポット」も命綱に
- 平時のサービス: ソフトバンクは「ソフトバンクWi-Fiスポット」を提供しており、こちらも全国の幅広いエリアをカバーしています。特に飲食店や商業施設に強いのが特徴です。SSIDは「0002softbank」です。
- 災害時の対応: もちろん、ソフトバンクも災害時には「ソフトバンクWi-Fiスポット」を「00000JAPAN」として開放し、被災地の通信確保に協力します。これにより、多くの人が集まる商業施設などが、情報収集の重要な拠点となります。
Wi2 (ワイヤ・アンド・ワイヤレス):「ギガぞうWi-Fi」の基盤
- 平時のサービス: Wi2 (株式会社ワイヤ・アンド・ワイヤレス)は、KDDIグループの公衆Wi-Fi事業者です。自社の「Wi2 300」や、高セキュリティな「ギガぞうWi-Fi」といったサービスを提供しており、多くのau Wi-Fi SPOTのインフラも担っています。
- 災害時の対応: 「00000JAPAN」の推進において中心的な役割を担っているのが、このWi2です。各キャリアや事業者が提供するWi-Fiスポットを「00000JAPAN」として束ね、利用者がスムーズに使えるようにする仕組みを裏で支えています。
キャリアWi-Fiのまとめ
| キャリア | 平時のWi-Fiサービス名 | SSID (平時の一例) | 災害時の対応 |
| NTTドコモ | d Wi-Fi | 0001docomo | 00000JAPANとして開放 |
| au (KDDI) | au Wi-Fi SPOT | au_Wi-Fi2 | 00000JAPANとして開放 |
| ソフトバンク | ソフトバンクWi-Fiスポット | 0002softbank | 00000JAPANとして開放 |
| Wi2 | Wi2 300, ギガぞうWi-Fi | Wi2 Wi2_club | 00000JAPANの基盤を提 |
このように、普段私たちが何気なく目にしているカフェや駅のWi-Fiスポットが、災害時には「00000JAPAN」という統一された名前のライフラインに変わるのです。
この協力体制があるからこそ、広範囲での通信確保が可能になっています。
【最重要】無料Wi-Fiを安全に使うためのセキュリティ対策
「00000JAPAN」は、災害時における非常に強力な味方です。しかし、その手軽さと引き換えに、重大なセキュリティ上のリスクを抱えていることを絶対に忘れてはなりません。
緊急時にこそ、冷静に自分の情報を守る知識が必要です。 ここでは、公衆Wi-Fiを安全に利用するために、必ず知っておくべき注意点と対策を解説します。
なぜパスワード不要のWi-Fiは危険なのか?
「00000JAPAN」にパスワードがないのは、一刻を争う災害時に誰でもすぐに使えるようにするためです。この利便性は計り知れません。
しかし、技術的には「通信が暗号化されていない」ということを意味します。
これは、例えるなら「内容が丸見えのハガキ」でやり取りをしているような状態です。
【通信の暗号化イメージ】
◆暗号化された安全なWi-Fi (鍵付き)
[あなた] <=> [情報(鍵付き)] <=> [Wi-Fi]
※悪意のある第三者が見ても、内容は解読不能
◆暗号化されていないWi-Fi (00000JAPANなど)
[あなた] <=> [情報(丸見え)] <=> [Wi-Fi]
↑
[悪意のある第三者] <-- 盗聴・傍受が可能
同じWi-Fiに接続している悪意のある第三者が、特殊なツールを使うと、あなたがスマートフォンでやり取りしている情報を簡単に盗み見(傍受)できてしまうのです。
具体的には、以下のようなリスクが考えられます。
- 閲覧しているウェブサイトの履歴がバレる
- メールの内容を読まれてしまう
- パスワードのかかっていないサイトで入力したIDやパスワードが盗まれる
- 偽のアクセスポイント(なりすましSSID)による被害
特に注意したいのが「なりすまし」です。 悪意のある人物が、本物の「00000JAPAN」とそっくりな名前の偽Wi-Fiスポットを設置することがあります。もし、それに気づかずに接続してしまうと、全ての通信が筒抜けになってしまう危険性があるのです。
自分の身を守る最強の盾「VPN」を活用しよう
では、どうすれば安全に「00000JAPAN」を使えるのでしょうか。 その最も効果的な対策が「VPN (Virtual Private Network)」の利用です。
VPNとは、一言でいうと「通信内容を暗号化して、安全なトンネルを通してやり取りする技術」です。
VPNアプリをスマートフォンに入れて起動するだけで、たとえ暗号化されていない「00000JAPAN」に接続していても、あなたの通信はすべて強力に暗号化されます。
先ほどのハガキの例で言えば、「中身が見えないように、頑丈な鍵付きのジュラルミンケースに入れて送る」ようなイメージです。
【VPN利用時の通信イメージ】
[あなた] <=> [VPNアプリで暗号化] <=> [安全なトンネル] <=> [Wi-Fi]
↑
[悪意のある第三者] <-- 何も見えない!
これにより、万が一通信を傍受されても、その内容を解読される心配はほとんどありません。
災害時に備えて、信頼できるVPNアプリを平時のうちにインストールしておくことを、強く、強く推奨します。有料のサービスはより信頼性が高いですが、無料でも reputable(評判の良い)なサービスは存在します。事前に調べて、使い方に慣れておきましょう。
これだけは守って!無料Wi-Fi利用時の鉄則
VPNの利用とあわせて、以下のルールを徹底するだけで、リスクを大幅に減らすことができます。
- 個人情報やパスワードの入力は絶対に避ける 安否確認や情報収集に留め、ネットバンキングへのログイン、クレジットカード情報の入力、各種サービスへのID・パスワード入力などは絶対に行わないでください。
- HTTPSで始まるサイトを利用する ブラウザのアドレスバーを見て、URLが
https://で始まっていることを確認しましょう。「s」はSecure(安全)の略で、ウェブサイト側で通信が暗号化されていることを示します。これにより、VPNを使っていなくても一定の安全性は確保されます。 - 使い終わったらWi-Fiをオフにする 必要な情報を得たら、すぐにスマートフォンのWi-Fi設定をオフにしましょう。意図せず危険なWi-Fiに接続し続けてしまうリスクを防ぎます。
緊急時だからこそ、セキュリティ意識を普段以上に高めることが、自分自身を守ることに繋がるのです。
繋がらない!困ったときの確認ポイントと対処法
いざ「00000JAPAN」が使えるはずの避難所に来たのに、なぜか繋がらない…。 そんな時に試せる、簡単な確認ポイントと対処法をまとめました。 パニックにならず、一つひとつチェックしてみましょう。
まずは基本的な設定を再確認【チェックリスト】
意外と単純なミスが原因であることも多いです。上から順番に確認してみてください。
- ✅ Wi-Fiはオンになっていますか? 基本中の基本ですが、設定がオフになっていないか、もう一度確認しましょう。
- ✅ 機内モードになっていませんか? バッテリーを節約するために機内モードにしていたのを忘れているケースです。機内モードを一度オフにしてから、再度Wi-Fiをオンにしてみてください。 【裏ワザ】 通信が不安定な時、一度「機内モードをオン → 10秒待ってオフ」にすると、通信関連の機能がリフレッシュされ、繋がりやすくなることがあります。
- ✅ 位置情報サービス(GPS)はオンになっていますか? Androidの一部の機種やアプリでは、Wi-Fiネットワークのスキャンに位置情報サービスが必要な場合があります。設定から位置情報がオンになっているか確認してみましょう。
- ✅ 「00000JAPAN」の電波は十分に強いですか? Wi-Fiの扇形マークの線の数が少ない場合、電波が弱いことを示しています。アクセスポイント(Wi-Fiルーター)に近づくだけで、劇的に改善することがあります。避難所の隅ではなく、中心部や職員の方がいる場所の近くに移動してみましょう。
それでもダメな場合に試すこと
基本的な設定に問題がない場合、以下の方法を試してみてください。
- スマートフォンの再起動 多くの不具合は、再起動することで解決します。困ったときの最終手段として非常に有効です。電源を一度完全にオフにし、少し待ってから再度電源を入れてみてください。
- ネットワーク設定をリセット これは少し上級者向けですが、過去に接続したWi-Fiの情報などが原因で不具合が起きている場合に有効です。
- iPhone: 「設定」 → 「一般」 → 「転送またはiPhoneをリセット」 → 「リセット」 → 「ネットワーク設定をリセット」
- Android: 「設定」 → 「システム」 → 「リセットオプション」 → 「Wi-Fi、モバイル、Bluetoothをリセット」 (注意) これを行うと、自宅のWi-Fiなど、保存されていたすべてのネットワークのパスワードが消去されるため、再設定が必要になります。最終手段として考えましょう。
- アクセスが集中しすぎていないか確認する あなただけでなく、周りの人も一斉に接続しようとしているため、輻輳と同じ状態がWi-Fiアクセスポイントで起きている可能性があります。少し時間を置いてから、再度試してみるとすんなり繋がることがあります。
焦らず、一つひとつ冷静に対処することが、解決への一番の近道です。
【まとめ】災害に備えて「今すぐ」やるべき事前準備リスト
ここまで、災害時の通信確保の重要性と、「00000JAPAN」の使い方、そして安全に利用するための知識を解説してきました。
災害は、いつ、どこで起こるか分かりません。 大切なのは、この記事を読んで「なるほど」で終わらせず、今すぐ行動に移すことです。
最後に、あなたとあなたの大切な人を守るために、今日からできる具体的な準備をチェックリストにまとめました。 ぜひ、この場で一つひとつ確認・実行してください。
✅ 1. スマホのWi-Fi設定を見直す
- Wi-Fiの自動接続がオンになっているか確認する。 (設定方法はこの記事の「平時にやっておくべき事前設定」を再度ご覧ください)
- 「00000JAPAN」という名前と、パスワードが不要であることを記憶に刻む。
✅ 2. セキュリティ対策を万全にする
- 信頼できるVPNアプリをインストールし、使い方を一度試しておく。 いざという時に初めて使うのでは、設定に戸惑う可能性があります。平時の安全なWi-Fi環境で、一度接続テストをしておきましょう。
✅ 3. 通信以外の安否確認手段を準備する
- 災害用伝言ダイヤル「171」と災害用伝言板「web171」の使い方を家族で共有しておく。 NTTが提供する、声の伝言板とテキストの伝言板です。電話番号をキーにして安否情報を登録・確認できます。 外部リンク: NTT東日本 災害用伝言ダイヤル(171)
- LINEの「安否確認」機能や、他のSNSの災害時機能を把握しておく。 LINEには災害時にホームタブに表示される安否確認機能があります。使い方を知っておくと便利です。
- オフラインで使える地図アプリをダウンロードしておく。 電波がなくても現在地と地図を確認できるアプリは、避難や移動の際に非常に役立ちます。
✅ 4. 電源の確保手段を複数用意する
- 大容量のモバイルバッテリーをフル充電しておく。 最低でもスマートフォンを2〜3回フル充電できる容量(10,000mAh以上)が望ましいです。定期的に充電状態を確認する習慣をつけましょう。
- 乾電池式の充電器や、手回し充電ラジオなども準備しておく。 モバイルバッテリーの電力が尽きた後の、バックアップとして非常に心強い存在です。
- 可能であれば、ポータブル電源も検討する。 家族全員のスマホ充電や、情報収集用のラジオ、照明など、複数の機器に長期間電力を供給できます。
災害への備えは、やりすぎということはありません。 「自分は大丈夫だろう」という油断が、いざという時の後悔に繋がります。
この記事が、あなたの防災意識を高め、万が一の際に冷静に行動するための一助となれば幸いです。 あなたの、そしてあなたの大切な人の無事を、心から願っています。


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