お子さんの急な発熱。
さっきまで元気に笑っていたのに、今はぐったりして熱も高い…。
特に、夜間や休日だと病院も薬局も閉まっていて、 「どうしよう…」 と途方に暮れてしまいますよね。
解熱剤はあっても、脱水症状を防ぐための経口補水液の買い置きがない。
そんな状況で、この記事にたどり着いてくださったのかもしれません。
その不安な気持ち、本当に、本当によく分かります。 私も同じような経験をしたことがありますから。
でも、大丈夫です。
特別な材料は必要ありません。 この記事では、国も推奨している、ご家庭にある「砂糖」と「塩」だけで、弱った体にすばやく吸収される「手作り経口補水液」のレシピを、誰でも絶対に間違えずに作れるよう、写真のように分かりやすく解説します。
この記事を読めば、わずか5分で、お子さんのための「飲む点滴」を用意できます。
まずはママ(パパ)が深呼吸。 落ち着いて、お子さんのためのケアを一緒に始めましょう。
まずは落ち着いて確認。子供の脱水症状、こんなサインに注意!
お子さんの体が水分を失っているとき、いくつかのサインを出してくれます。 経口補水液を作る前に、まずはお子さんの様子を冷静に観察してみましょう。
これは、こども家庭庁などが注意喚起しているチェックポイントでもあります。 一つでも当てはまる場合は、水分補給が急がれます。
【お子さんの脱水症状チェックリスト】
| チェック項目 | 具体的な様子 |
| おしっこ | ☐ 半日以上おしっこが出ていない |
| ☐ おしっこの色がいつもより濃い(オレンジ色に近い) | |
| 口・舌・唇 | ☐ 口の中がネバネバしている、乾いている |
| ☐ 舌の表面がザラザラしている | |
| ☐ 唇がカサカサに乾いている | |
| 目・皮膚 | ☐ 泣いているのに涙の量が少ない、または出ていない |
| ☐ 目が落ちくぼんだように見える | |
| ☐ 手の甲の皮膚を軽くつまんで離したとき、跡がすぐに戻らない | |
| 全身の状態 | ☐ 元気がなく、ぐったりしている |
| ☐ 眠ってばかりで、起こそうとしても反応が鈍い | |
| ☐ いつもより機嫌が悪い、あやしても笑わない |
いかがでしたか?
「あれ?」と思う項目があったなら、それは体が水分を欲しているサインです。 でも、焦らないでくださいね。 今から作る経口補水液が、その助けになります。
【最重要】なぜスポーツドリンクより経口補水液なの?
「とりあえず、家にあったスポーツドリンクを飲ませよう」
そう考える方も多いかもしれません。 しかし、発熱や嘔吐・下痢などで弱っている時には、スポーツドリンクは最適とは言えません。
その理由は、「浸透圧(しんとうあつ)」と「成分バランス」にあります。
体液との「浸透圧」が吸収のカギ
少し難しい言葉が出てきましたが、簡単に言うと「体への吸収の速さ」のことです。
私たちの体液には、適切な塩分や糖分の濃度があります。 この濃度に近い飲み物ほど、体に負担をかけず、すばやく吸収される仕組みになっています。
経口補水液は、この体液の濃度に非常に近く作られています。 だから「飲む点滴」とも呼ばれ、弱った腸でもスムーズに水分と電解質(塩分など)を吸収できるのです。
一方、スポーツドリンクは、健康な人が運動で汗をかいた時のエネルギー補給を主な目的としています。 そのため、経口補水液に比べて糖分が多く、塩分(ナトリウム)が少ない傾向にあります。
糖分が多すぎると、かえって腸に負担をかけたり、下痢を悪化させてしまう可能性もあるのです。
失われた水分と塩分を補う「黄金バランス」
発熱で汗をかいたり、嘔吐や下痢をしたりすると、水分だけでなく、体に必要な塩分(ナトリウム)も大量に失われてしまいます。
水やお茶だけを飲むと、体内の塩分濃度がさらに薄まってしまい、体は危険を察知して「これ以上水分を摂るな」と命令を出します。 その結果、喉の渇きが収まったり、尿として水分を排出しようとしたりして、かえって脱水を悪化させることさえあるのです。
経口補水液は、失われた水分と塩分を同時に、最も効率よく補給できる「黄金バランス」で設計されています。
だからこそ、弱っている時には、ただの水分補給ではなく、「経口補水液」を選ぶことがとても大切なのです。
【厚生労働省も推奨】家にあるものでOK!基本の経口補水液の作り方
お待たせしました。 いよいよ、ご家庭でできる経口補水液の作り方をご紹介します。
このレシピは、WHO(世界保健機関)が提唱し、日本の厚生労働省も推奨している、信頼性の高いものです。 特別な道具は何もいりません。キッチンにある、いつもの道具で大丈夫ですよ。
準備する材料は、たった3つだけ
まずは、以下の3つを準備してください。
- 水:500ml(500mlのペットボトル1本分でOK)
- 砂糖:20g(上白糖やグラニュー糖など)
- 塩:1.5g(食塩)
【計量のポイント】
計量スプーンを使うと、より正確に測れます。
- 砂糖 20g = 大さじ 2杯 + 小さじ 1杯 くらい (※砂糖の種類で重さが少し違いますが、目安として)
- 塩 1.5g = 小さじ 1/4杯 くらい
「家に計量スプーンがない!」という場合でも、大丈夫。 ペットボトルのキャップ(1杯約7.5ml)でも代用できますが、あくまで緊急時の目安としてください。
- 砂糖:キャップ 約3杯弱
- 塩:キャップ 1/4杯くらい(ごく少量)
Q. どんなお水を使えばいいの?
一度沸騰させて冷ました「湯冷まし」が最も望ましいですが、緊急時には市販のミネラルウォーターや、水道水をそのまま使っても問題ありません。 ただし、赤ちゃんに与える場合は、なるべく湯冷ましを使うとより安心です。
【写真のように簡単】混ぜるだけ!黄金比のレシピ
準備ができたら、あとは混ぜるだけです。
【ステップ1】 清潔な容器を用意する
よく洗った500mlの空のペットボトルや、フタ付きのボトル、ピッチャーなどを用意します。 雑菌が入らないよう、清潔な容器を使いましょう。
【ステップ2】 材料を入れる
用意した容器に、計量した砂糖(20g)と塩(1.5g)を入れます。 紙を一枚、じょうご代わりに使うとこぼれにくくて便利ですよ。
【ステップ3】 水を入れて、よく振って溶かす
容器に水(500ml)を注ぎ、フタをしっかりと閉めます。 あとは、砂糖と塩が完全に溶けて見えなくなるまで、よくシェイクしてください。
【完成!】
はい、これで完成です! あっという間でしたよね。
少し味見をしてみてください。 ほんのり甘くて、しょっぱい、ポカリスエットなどをすごく薄くしたような味に感じられるはずです。 もし、とても美味しく感じられたなら、あなたの体も水分を欲しているサインかもしれません。
<コラム> もし味が苦手なら…飲みやすくするアレンジ方法
このシンプルな味が、お子さんによっては苦手な場合もあります。 そんな時は、レモン果汁(ポッカレモンなど)を数滴加えてみてください。
爽やかな酸味が加わることで、独特のしょっぱさが和らぎ、格段に飲みやすくなります。 また、レモンに含まれるクエン酸は、疲労回復にも役立つと言われています。
入れすぎると酸っぱくなってしまうので、本当に数滴、風味付け程度で試してみてくださいね。
作った経口補水液、どうやって飲ませる?上手な飲ませ方のコツ
さあ、愛情たっぷりの経口補水液ができました。 でも、ここからがもう一つのハードルかもしれません。 弱っている子どもは、なかなか素直に飲んでくれないこともあります。
ここでも、焦りは禁物です。
焦りは禁物!スプーンやスポイトで少量ずつ
コップでゴクゴク飲ませようとすると、むせたり、吐き気を誘発したりすることがあります。
ティースプーン1杯分くらいの量を、5分おきくらいのペースで、根気よく口に運んであげましょう。
赤ちゃん用のスポイトがあれば、それを使うのも非常に有効です。 頬の内側に沿って、ゆっくりと流し込んであげると、上手に飲めることがあります。
大切なのは「少量ずつ、頻回に」です。 1回に飲む量は少なくても、回数を重ねることで、体に必要な水分量を確保していきます。
それでも子供が飲まない…そんな時の対処法
いろいろ試しても嫌がって飲んでくれない時、本当に心が折れそうになりますよね。 そんな時は、こんな方法も試してみてください。
- 少し冷やしてみる: 人肌よりも、少しひんやりしている方が飲みやすく感じることがあります。
- ストローを使ってみる: いつも使っているお気に入りのストローがあれば、それで遊び感覚で誘ってみるのも手です。
- 【最終手段】製氷皿で凍らせる: 小さな製氷皿で凍らせて、一口サイズの氷にしてあげます。それを口の中で溶かすように舐めさせてあげると、水分補給になることがあります。シャーベットのようで、喜んでくれる子もいます。
どのくらいの量を飲ませればいいの?
飲ませる量の目安は、お子さんの年齢や体重によって変わります。 以下はあくまで一般的な目安です。お子さんの様子を見ながら、無理のない範囲で与えてください。
| 対象 | 1日に与える量の目安 | 飲ませ方のポイント |
| 乳児<br>(~1歳) | 体重1kgあたり 30~50ml | スプーンやスポイトで少量ずつ。一度に与えすぎない。 |
| 幼児<br>(1~6歳) | 500ml~1000ml | 本人が欲しがるだけ与えて良い。コップで少量ずつ。 |
| 学童以上 | 1000ml以上 | 喉が渇いたら自由に飲ませる。 |
これは、あくまで目安の「量」です。 一番大切なのは、先ほどチェックした「脱水症状のサイン」が改善されるかどうかです。
おしっこの回数が増えてきたり、唇が潤ってきたりしたら、水分が足りてきている良いサインです。
手作りする上で【必ず】守ってほしい注意点
手軽に作れる経口補水液ですが、お子さんの体に直接入るものです。 安全のために、必ず守ってほしい大切な注意点がいくつかあります。 ここは、しっかりと読んでください。
【最重要】1歳未満の赤ちゃんには「はちみつ」は絶対にNG!
インターネット上には、砂糖の代わりにはちみつを使うレシピを見かけることがあります。 しかし、1歳未満の乳児に、はちみつを与えることは絶対にやめてください。
はちみつには、「ボツリヌス菌」という細菌の芽胞(がほう)が含まれている可能性があります。 腸内環境が整っていない1歳未満の赤ちゃんがこれを摂取すると、「乳児ボツリヌス症」という重い食中毒を発症する危険性があります。 この病気は、時に命に関わることもある、非常に怖いものです。
「加熱すれば大丈夫」というものでもありません。 砂糖の代わりに、はちみつを使うのは絶対に避けてください。
作った経口補水液はいつまで?保存方法と期限
手作りの経口補水液は、保存料などを一切含んでいません。 そのため、雑菌が繁殖しやすく、傷みやすいデリケートな飲み物です。
- 保存は必ず冷蔵庫で。
- 作った日(24時間)以内に必ず飲み切ってください。
たとえ残ってしまっても、もったいないと思わずに処分しましょう。 口をつけたスプーンを容器に戻したり、ペットボトルに直接口をつけて飲んだりすると、さらに菌が繁殖しやすくなるので避けてください。
自己判断は禁物。あくまで「応急処置」です
この手作り経口補水液は、病院に行くまでのつなぎや、軽度の脱水症状に対する「応急処置」です。
根本的な病気を治す薬ではありません。 お子さんの症状が改善しない場合や、悪化するような場合は、自己判断で様子を見続けず、必ず医療機関を受診してください。
これって病院に行くべき?受診を迷ったときの目安
「水分補給はしているけど、本当にこのまま家で様子を見ていて大丈夫…?」 その不安、よく分かります。
以下のような症状が見られる場合は、夜間や休日であっても、ためらわずに医療機関を受診してください。
【すぐに受診すべき危険なサイン】
- 意識がおかしい
- ぐったりして、呼びかけへの反応が非常に鈍い
- 名前を呼んでも視線が合わない
- 意味不明なことを言う
- 水分が全く摂れない
- 作った経口補水液などを全く受け付けない
- 飲ませてもすぐに吐いてしまう、嘔吐を繰り返す
- けいれん
- 白目をむいて、手足がガクガクと震えている
- 呼吸がおかしい
- 肩で息をするような、苦しそうな呼吸をしている
- 呼吸のたびに、胸やお腹がペコペコとへこむ
- 顔色・唇の色が悪い
- 顔色が悪く、土気色をしている
- 唇が紫色になっている(チアノーゼ)
判断に迷った時は、一人で抱え込まずに専門家に相談しましょう。 電話で相談できる窓口があります。スマートフォンの連絡先に登録しておくと、いざという時に安心です。
- こども医療でんわ相談: 「#8000」小児科医師・看護師から、お子さんの症状に応じた適切な対処の仕方や、受診する病院などのアドバイスをいただけます。 (厚生労働省 こども医療でんわ相談事業(#8000)について)
- 救急安心センター事業: 「#7119」急なケガや病気をしたときに、救急車を呼んだ方がいいか、今すぐ病院に行った方がいいかなどを、医師・看護師・相談員がアドバイスしてくれます。(一部地域で実施)
あなたの直感は、とても大切です。 「なんだか、いつもと全く違う」 そう感じたら、それは受診すべきサインかもしれません。
【未来のために】普段からの備えで、次の「いざ」を安心に
今回の経験は、とても大変だったと思います。 でも、この経験を次に活かすことで、未来の不安をぐっと減らすことができます。
「粉末タイプ」の市販品をストックしておこう
手作りも素晴らしいですが、いざという時に計量する手間さえ惜しいほど、心身ともに疲弊していることもあります。
そんな時のために、市販の「粉末タイプの経口補水液」をいくつかストックしておくことを強くお勧めします。
粉末タイプなら、
- 賞味期限が長い
- 保管場所を取らない
- 水に溶かすだけで、正確な濃度のものがすぐに作れる
という大きなメリットがあります。 薬箱や防災バッグに数本入れておくだけで、大きな安心材料になりますよ。
我が家の「安心ストック」見直しチェックリスト
この機会に、お子さんのための救急セットを見直してみませんか?
| 備えの分類 | チェック項目 |
| 飲み物 | ☐ 市販の経口補水液(粉末 or ペットボトル) |
| ☐ 赤ちゃん用のイオン飲料 | |
| ☐ 麦茶や湯冷まし(ペットボトル) | |
| 食べ物 | ☐ おかゆ、うどん(レトルトパウチ) |
| ☐ ゼリー飲料 | |
| ☐ りんごのすりおろし(瓶詰など) | |
| 医薬品・衛生用品 | ☐ 子供用の解熱剤(医師に処方されたもの) |
| ☐ 体温計(電池の確認も) | |
| ☐ 冷却シート | |
| ☐ 保湿剤、ワセリン | |
| ☐ 救急絆創膏、滅菌ガーゼ | |
| 連絡先 | ☐ かかりつけ医の診察券と電話番号 |
| ☐ 夜間・休日診療所の場所と電話番号 | |
| ☐ こども医療でんわ相談(#8000)のメモ |
防災備蓄としても役立つものばかりです。 年に1〜2回、定期的に中身と使用期限を確認する習慣をつけておくと、いざという時に慌てずに済みます。
まとめ:急な発熱でも慌てない。知っておけば安心の「お守りレシピ」
今回は、お子さんの急な発熱で経口補水液がないという緊急時に、ご家庭にある「水・砂糖・塩」だけで作れる、安心・安全な経口補水液のレシピをご紹介しました。
【今日の大切なポイント】
- 脱水症状のサインを見逃さず、早めに水分補給を。
- 作る時は「水500ml:砂糖20g:塩1.5g」の黄金比で。
- 飲ませる時は「少量ずつ、頻回に」が基本。
- 1歳未満の赤ちゃんにはちみつは絶対NG!
- 作ったものは冷蔵庫で保管し、24時間以内に飲み切る。
お子さんの看病、本当にお疲れ様です。 代われるものなら代わってあげたい、そう思いますよね。
でも、ママやパパが落ち着いて、冷静に対処してくれることが、お子さんにとっては何よりの安心に繋がります。
この記事でご紹介した手作り経口補水液のレシピが、あなたの不安な夜を乗り越えるための、ささやかな「お守り」になれば、これほど嬉しいことはありません。
ただし、繰り返しになりますが、これはあくまで応急処置です。 お子さんの様子を注意深く見守り、少しでも「おかしいな」と感じたら、ためらわずに専門家や医療機関に相談してくださいね。
どうか、お子さんの熱が下がり、いつもの元気な笑顔が早く戻りますように。


コメント